フカヒレ漁(finning)とは
フカヒレ漁(finning)とは
フカヒレ漁(finning)とは、サメを捕獲して船上でヒレを切り取り、ヒレ無しになった胴体を海に投げ戻す漁法です。サメが生きたまま海に戻されることがよくあります。泳げなくなったり動き続けられなくて呼吸困難に陥ってしまったサメは、窒息や出血多量を起こしたり他の海の生物のえさになったりして痛みに苦しみながらゆっくりと死を迎えることになります。
なぜこのような漁が行われるのでしょうか?
サメのヒレが高価な商品だからです。アジア諸国でフカヒレのスープが最高で1杯100米ドル(約1万円)もすることから分かるように、サメのヒレ自体1キロ当たり数万円もの値がつきます。それに比べてサメ肉の商業的価値は比較的低く、1トン当たり865米ドル(約85,000円)でしか売れません。漁師にとってサメのヒレは黄金同様ですが、ヒレ以外の部位は漁船内のスペースの無駄なのです。ヒレが高価だという理由でサメは絶滅に向かう勢いで殺されています。
2006年10月に出版された『Ecology Letter』のフカヒレの取引に関する論文によると、フカヒレのために捕獲されるサメの数は、毎年2600万‐7300万匹と推定されています。
この論文の主な著者、香港と日本で活躍している米国人漁業科学者のシェリー・クラーク博士は、「フカヒレの取引業界は口が堅いことで有名です。しかし、私達はヒレのせりの記録を入手し、ヒレの大きさと重量の数値を使って実際に取引されたサメの数を換算することができました。」と述べています。
この研究の数値を捕獲された全てのサメの重量に換算してみると、サメの捕獲数は国際連合食糧農業機関(FAO)に報告された捕獲数の3‐4倍に達します。つまり、世界の合法的な漁業界のフカヒレの取引に大規模な「統計漏れ」があると示唆しているのです。フカヒレ漁は数百万ドルの価値がある大産業ですが、違法行為が大多数を占めている可能性があります。
フカヒレ漁を法的に禁止している国は17ありますが、フカヒレ漁は今でも行われています。領海内、禁漁海域および監視の薄い国際海域で密漁は続けられています。エクアドルやコスタリカではフカヒレ漁に関する規則がありますが、サメが多数生息している保護海域のガラパゴス諸島やココス諸島では厳しい監視は行われていません。また、モザンビークのポメネ保護区でもサメの密漁が横行していて、漁師はフカヒレ1キロ当たり280米ドル稼いでいます。サメが生息している場所には必ずヒレ目当ての人たちがいるという訳です。不法なフカヒレ漁が中止されたというケースもありますが、漁のほとんどが止められていないのが実状です。
税関の資料によると、100を超える国がフカヒレの取引をしています。大多数の国は輸出国で、主な消費国は中国本土、香港、マレーシア、シンガポール、台湾およびタイです。アメリカ合衆国とヨーロッパ連合もかなりの量を国内の中国系社会向けに輸入しています。
サメの個体数減少の原因は多数ありますが、フカヒレ漁が主な原因なのは間違いありません。フカヒレ漁は世界の隅々で意識的な努力をしなければ解決できない世界的問題なのです。
フカヒレ漁に関する法が可決された国や地域が幾つかあります。(以下のリスト参照。)しかし、フカヒレ漁を禁止すれば問題は解決される訳ではありません。個体数が減少に陥る勢いでサメが捕獲されているのが現状です。法が制定されてもフカヒレのための漁は継続されるでしょう。たとえ漁師が法に従ってサメを丸ごと持ち帰ったとしても、サメ肉が売れるとは限りません。肥料などの副産物になるかもしれませんが、フカヒレに対する需要のため、個体数減少に追い込まれる規模でサメが何百万匹も殺されてしまうという事実は変わりません。必要なのはフカヒレ漁の禁止だけでなく、サメ漁の規制なのです。
フカヒレ漁に関する法律がある国:
アメリカ領サモア
オーストラリア(ほとんどの州と特別地域)
ブラジル
カナダ
コスタリカ
エクアドル
欧州連合
ニカラグア
オマーン
パラオ
パナマ
セイシェル(外国船のみ)
南アフリカ(領海内のみ)
アメリカ合衆国
モルディブ共和国(サメ漁の全面的禁止法が最近施行されました)
参考資料:
NY Times, Hidden Cost of Shark Fin Soup: Its Source May Vanish, by JUAN FORERO, January 5, 2006
FOOD AND AGRICULTURE ORGANIZATION OF THE UNITED NATIONS, Yearbook of Fishery Statistics, 2005
Global estimates of shark catches using trade records from commercial markets, Shelley Clarke, Ecology Letters , Volume 9, Issue 10, Page 1115-1126, Oct 2006
SHARKWATER 神秘なる海の世界 特別版 [Blu-ray] ロブ・スチュワート監督www.sharkwater.com
DNA Helps Nab Illegal Shark Fin Traders, By JESSICA GRESKO, Associated Press Writer, August 16, 2006;
Mozambique: Illegal Shark Fishing in Inhambane , AllAfrica.com, October 10, 2007
Copyright: Justin Ebert
ヒレを切り取られ、海に捨てられたサメ。
Copyright © 2009 PangeaSeed. All rights reserved.
フカヒレ漁(Finning)とは?
ヒレだけ持ち帰られた 宮城県・気仙沼
Copyright: PangeaSeed
Copyright: PangeaSeed
宮城県・気仙沼漁港にて(2009年7月)
宮城県・気仙沼漁港にて(2009年7月)
Copyright: PangeaSeed